前回の提案で保留となっていたファサードの提案と細かいプランの変更の提案模型を製作しました。
今回の模型がほぼ完成になる予定です。 カラースキームも、前回はビビッドな色で提案していましたが、子供からお年寄りまで受け入れられるような淡い明度を落とした色で作成しました。空間の雰囲気もCIと調和しています。
ショールームのファサードコンセプトについて
通常のリフォーム会社のファサードは広告面を前面に出すラッピングされた建物が多いです。原色と大きな広告文字で、自分たちがリフォーム会社であることをアピールしています。もちろん自分たちが何をやっている会社であるかを周りに知らせることは必要だと思います。
しかし、私たちは「あっとリフォームらしい知らせかたって何だろう?」をテーマに今回は考えました。
それはやはり、看板や広告でありながら企業や地域のCI(コーポレートアイデンティティ)を感じることができるものを実現することだと考えました。あっとリフォームである喜岡さんの考え方は、特に地域を思う気持ちが強いので、地域の思いがそのままファサードとしてデザインされることが大事です。
言葉にすることは簡単ですが、看板でありながら企業や地域のアイデンティティを表現することは一見難しいと思いますが、ここまで二人三脚で進めてきていることと、企業コンセプト、ロゴ全て並行して進めてきているので、実はファサードデザインの方向性に関しては比較的、早く決めることができました。
方向性が決まってもデザインとして納得できるものとして落とし込むのは難しいのですが、そこは設計者としての腕の見せ所になります。
ショールームのファサードデザインについて
既存建物の外側に新たに外壁をつくることによって、ファサードのコンビニのイメージを消すことができました。
外側にもう一枚外壁をつくることはリフォームだからこそできるデザインです。
あっとリフォームのヴィジュアルアイデンティティである家のカタチを、地元の木材を使用して既存のコンビニ跡地の建物の周囲に1mのセットバック部分を設けて包み込むように配置しました。ヴィジュアルアイデンティティというと難しい言葉のように感じてしまいますが、ここでは会社のロゴマークです。
セットバック部分には、この地域に存在して生えている植栽や石を移植したり、訪れてくれた人たちやスタッフが休憩できるデッキテラスを設けたり、ショールームへの入口を設けました。 看板でありながら企業や地域のアイデンティティの空間を体験する事ができる、内部空間へ緩やかにつながるインターフェースとしてデザインしました。 インテリアは、それぞれの独立した箱の空間に商品を展示し暮らしを覗くような形で作りました。訪れる人にはファサード看板から内部空間までの間で、家の中にまちが広がっていて路地を歩くような連続的な暮らしの空間体験を与えることができます。
ショールームのカラースキームについて
カラースキームとは色彩計画の事です。今回のカラースキームは主に内装の塗装のカラーになります。配色計画はコーポーレートカラーの緑色を軸に各色にコンセプトを与えてトーンイントーン配色をしました。トーンイントーン配色とは、色相の違うトーン(色相、明度)を配色していく手法です。同じトーンで展開していくので空間に調和した印象を与えます。
今回の設計では、グリーン、ブルー、オレンジを使用しました。グリーンはコーポレートカラーでもありますが植物、ブルーは空、オレンジは太陽をイメージしました。こちらはロゴを構成している部分にも対応しています。
例えば色をグリーンで塗りたい場合は、言葉でグリーンと簡単に説明ができますが、同じグリーンでも濃さが違っていたり、イエローが強かったり、ブルーが強かったり、色をイメージ通りに塗ることは非常に難しい工程です。皆さんがパソコンからプリンターに出力した時にパソコンから見ている色と出来上がりの色が違うことでもわかると思います。
紙媒体の場合はCMYKを指定したりDICのカラーサンプルを添付して合わせたりすることができますが、建築における塗装の場合は各部位で塗装を塗る人が違ったり、塗料の種類が違うことがあります。
今回の場合は壁や天井に現場で塗装する職人さんと、工場で家具に塗装する職人さんがいました。場所と塗料と人が違う状況で色を合わせることに非常に苦労します、というのは今回の場合は売っている塗料の色をそのまま使用するのではなくて、塗料を調合して色を合わせることを計画しているからです。しかも塗料の種類が場所でも違うので難易度はさらに上がります。
例えば、外部と内部など色を見る状況が違う場合は色の違いはあまり気にならないのですが、今回の場合は、同じ空間で隣り合わせに色が配置されているため、色の小さな違いによってイメージが変わってしまうため、非常に繊細な色合わせが必要になってきます。塗料サンプルを家具塗装工場に送って、何度か色合わせをお願いして、やっと満足できる同じような色で調合してもらうことができました。
このような部分は現場が出来上がってからはわからない苦労した部分かもしれませんが、このような細かいデザインがちりつもって空間のデザインが出来上がっていきます。